生婦火
どんな伝承か
三重県の阿山地方に伝わる話である。女が赤児を産むときには産室を別にし、家族とは別の釜や鍋で煮焚きし、火も新たに起こすものとされていた。ところが中坊飛騨守なる者は、一人娘の利姫が産をするとき産室を設けなかった。利姫は意外の難産で、母子ともに死んだ。九品寺に葬ると、毎夜半、二つの火の玉が寺を出て飛騨守の館に入り、明け方には地上すれすれに飛びながら寺へ戻った。そこで急いで大追悼をしたという。これを生婦火と呼ぶ。産の穢れに関わる怪火である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・昭和中期(1977年頃))
ザシキワラシ(座敷童子)と福の神(怪談の世界)/遠野・東北の怪異伝承/家運の盛衰と怪音/妖怪と幽霊譚/山田野理夫の怪談採集