内藤新宿の役場に貼られた妊娠の掲示
どんな伝承か
内藤新宿の芸妓屋組合は取締規律を設け、芸妓それぞれに身持ちを慎むよう申し合わせていた。ところが同じ新宿の芸妓、蔦家お信という二十五の女が客の子を宿し、腹が目立つようになったため、同業者たちはひどく腹を立てていた。すると町役場の掲示場に、何者かの悪戯で奇抜な貼り紙が出された。内藤新宿二丁目五十二番地の芸妓佐藤のぶは年始早々身重となったが、情夫が多くて誰の胤とも判じかねる、心当たりの粋人は二月五日までに蔦屋へ申し出よ、というのである。差出人は新宿粋役場、日付は明治二十七年一月二十七日となっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件