鉄砲を手に旅人を追う鰍沢のお熊
どんな伝承か
山奥の一軒家に女がひとりで暮らしているというだけで、その家は魔性めいて見える。しかも主が老婆ではなく若い女であれば、凄みはかえって増す。落語『鰍沢』に出てくるお熊はその典型で、花魁あがりの色っぽい女である。旅人にしびれ薬を盛り、亭主が息絶えたあとはその鉄砲を手に、思うように体の動かない相手を血相を変えて追いつめる。中村希明は、黒塚の鬼女とはまた違うこの迫力を、旅そのものが危難と隣り合わせだった時代の恐怖の裏返しとして読んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の科学――幻覚の心理を探る(中村希明・中村希明・精神医学・昭和(精神医学))
幽霊や怪異を脳と心理(幻覚)の科学で解明する。