奈良王様
どんな伝承か
今からおよそ一二〇〇年前、孝謙天皇が奈良田へ病平癒の湯治に赴かれるとき、矢川部落に一泊された。土地の豪士深沢常左衛門の家を仮の泊所と定められたが、適当な部屋もなく、板敷をしつらえて仮の御座所とした。翌朝、帝は使われた板敷を月の昇らないうちに焼き捨てるようにと言いつけて夜の明けきらぬうちに出立されたが、村人たちが言いつけを守らなかったため、部落内から出火して大半を焼いてしまった。峠の途中でこれを御覧になった帝は不憫に思われ、お使いの杖を刻んで火伏せの神として村人にお与えになった。これを祭ったものが「火伏せの天狗」であり、御一泊の折の木枕で帝のお姿を刻み祭ったのが「枕木天神」であるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。