奈良王様
どんな伝承か
清哲村山内の鳳凰ヶ岳観世音の口碑によれば、その昔、奈良法皇が甲斐の奈良田へ行幸された時、この山に登って都を慕い、帰路、山中の平垣にあった好美石に蓐を敷いて憩われたという。さらに道をたどって御座石に一泊し、明後日また登山して都を慕い、四方を眺望されて、ああ佳い景色である、我が霊はこの嶺に永久に留まると仰せられて奈良田へ赴かれた。土地の人はこの山を法皇山と称し、法皇の御影を石に刻んで観世音と唱えて祀った。御座石の名も法皇が好美石に安らわれたことに始まり、御所という名称も行在所の跡であろうという。この観音は信仰が厚く、明治七年頃に五体だった石像は今では非常に多数にのぼっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。