行司の見た幽霊
どんな伝承か
行司の木村庄之助が朝之助といった頃の話である。甲州青柳の奥にある土地の某寺の本堂に泊まると、真夜中頃、夢現ともなく十八、九の女に胸を圧しつけられた。その苦しさに思わずキャッと叫んで撥ねのけ、跳ね起きて燭を点し、仲間の木村(年寄常盤山)にこのことを語り、人々は気味悪く一夜を明かした。翌早朝、寺へ葬式の通知が来た。朝之助がさてはとうなずいて、住職に死人は十八、九のこれこれの女ではないかと聞くと、果たして十九になる町の菓子屋の娘で、朝之助の言う通りの容貌の女であった。
原典より
木村庄之助が朝之助と云た頃、甲州青柳の奥行に土地の某寺の本堂に泊ると、真夜中頃、夢現ともなく十八九の女に、胸を壓しつけられる苦さに、思はず知らずキャッと叫んでお手にそれをはねのけざま跳ね起き、燭を點して財してゐた仲間の木…—— 幽霊は語る(梶天真・幽霊研究・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽霊は語る(梶天真・幽霊研究・大正〜昭和(戦前))