赤痢が覚まさせた村の信仰
どんな伝承か
川代は戸数わずか十五六戸の小村で、孫太郎の一家を除くほとんどが天理教の信者になっていた。ところがその年の夏、非信者である孫太郎の家に赤痢患者が四人も出て避病院へ隔離された。孫太郎の妻は、これは天理教の神罰であり、自分の一家だけを信者にしなかった巡査の罪だと駐在所へ苦情を持ち込み、村人も同じことを言い触らした。まもなく二三軒離れた信者の家からも赤痢患者が出て、こちらは避病院で死亡した。一方、孫太郎の一家は四人とも全快して帰ってきた。それを見た信者たちは、神様もあまり当てにはならないと言い合い、次第に目が覚めていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽)
『變態心理と犯罪』は、雑誌『變態心理』を主宰した中村古峽による変態心理学の論集である。二重人格・夢遊病・狐憑き・神隠し・催眠術を心理学の立場から解き、大本教・天理教・金光教の神懸りを妄想や人格変換として退け、霊能を称する火渡りや針刺しなどの実験の種を明かす。終わりには迷信や二重人格のからむ大正期の犯罪事件の実話を収め、著者自身の被験者や綾部の大本教訪問の見聞も例に引く。