村ごと天理教にのめり込む川代
どんな伝承か
明治三十二三年頃から四五年頃にかけて、天理教が青森県下で盛んに宣伝された。支部が方々にでき、あの村では医者に見放された病人が治った、この村では生まれつきの盲人が目を開いたという評判で農民の話は持ち切りになった。当時、上北郡のある村の川代という部落に住む仁兵衛は、長く婦人病を患う妻のために隣村の支部長を招いて祈禱を受けさせた。一週間ほどで妻は快方に向かい、続いて胃腸を病んだ父も同じ祈禱で治った。すっかり感心した仁兵衛は入信し、田畑を売って旅費を作り、村人を誘って大和の本部へ参拝した。以後、川代の農民は次々に財産を蕩尽していった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽)
『變態心理と犯罪』は、雑誌『變態心理』を主宰した中村古峽による変態心理学の論集である。二重人格・夢遊病・狐憑き・神隠し・催眠術を心理学の立場から解き、大本教・天理教・金光教の神懸りを妄想や人格変換として退け、霊能を称する火渡りや針刺しなどの実験の種を明かす。終わりには迷信や二重人格のからむ大正期の犯罪事件の実話を収め、著者自身の被験者や綾部の大本教訪問の見聞も例に引く。