夢で貸した白珊瑚の数珠
どんな伝承か
木之本町の農村に生まれたFの夢に、戦時中のある夜、弟が現れた。善光寺に参らないままなのが心残りだから、兄の白い数珠を貸してほしいという。承知して目を覚まし、仏壇の箱を検めると、白珊瑚の数珠が消えていた。妻も手を触れていないと言う。七日ほど後、弟はふたたび夢に立ち、念願の参詣を果たしたと告げて数珠を返した。箱の中には確かに戻っていた。同じころ従兄も夢を見ており、善光寺の本堂で弟に会い、粗末な黒い数珠は気に入らないと訴えられたという。まもなく弟の戦死の報が届いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。