数珠をくって語る盛岡の口寄せ
どんな伝承か
東北の盛岡市には、昔の名残りである口寄せがいまも盛んに行われている。著者が調べたところによれば、その霊媒は仏壇の前で、昔のように弓を飾って弦を叩く代わりに数珠をくり、哀調を帯びた亡者の言葉の一定の文句を、一種の調子をつけて歌い出すにすぎない。覚醒したままであって、失神状態に入るのではないという。それでも死者の初七日や年忌にその家へ招かれ、死者の生前の行状や、いま地獄極楽でどうしているかを哀調をもって述べたてると、親族の婦人などは涙を流してこれを聞いているのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年))
『心霊現象の科学』は、小熊虎之助が心霊現象を科学の立場から論じた研究書で、序とあとがきに昭和四十九年四月の日付がある。コックリ・自働書記・読心術・憑きものなどを心理学で説ける偽心霊現象とし、精神感応・交霊・千里眼・心霊物理現象を真実の心霊現象として心霊現象研究会の報告から吟味する。福来友吉が能力者とした三船千鶴子・長尾夫人・高橋夫人・三田光一の透視と念写は山川健次郎らの実験と照らして疑い、あとがきでは井上円了以来の研究史を概説する。