善光寺へ参るため夢で借りた数珠
どんな伝承か
伊香郡木之本町の農村に生まれたFさんの話。戦争のさなか、夢に弟が現れ、善光寺に参れなかったのが心残りだから兄の白い数珠を貸してくれと頼んだ。持って行けと答えたところで目が覚めた。不審に思って仏壇の箱を検めると、白珊瑚の数珠が消えている。妻に尋ねても触れてもいないという。七日ほどして弟がまた夢に立ち、念願がかない参ってきた、数珠は返すと告げた。目覚めて箱を見ると数珠はもとどおり収まっていた。従兄も同じころ、善光寺の本堂で弟に会う夢を見ていたという。のちにFさんのもとへ、弟の戦死の知らせが届いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。