昭和十九年のこと
どんな伝承か
新潟県北魚沼郡守門村(現・魚沼市)に伝わる話。昭和十九年、夫が出征したとき、キクノさんは身重だった。夫の出征後に生まれた子を産んで一週間ほど経ったころ、夢に傷痍軍人のような姿の夫が現れ、「その子を抱かせてくれ」と手を伸ばした。二度目には「ドゥブク(綿入りの防寒着)を出してくれ、寒くてしょうがない」と訴えたため、キクノさんは夫の死を悟ったという。戦死の公報が届いたのは終戦の年の九月だったが、夢に現れたのはお産のあった六月で、そのころ夫のいたテニアン島は大空襲を受けていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。