浅草岳の雪崩地帯と雨やみの術
どんな伝承か
登山家の西丸震哉は、インドのアシュラムでシバナンダ師から「雨やみの術」を授かったという。善い心を持ち人に奉仕する心を徹すれば、降るはずの雨を一定時間、特定の場所から取り去ることができるようになった。一九六三年の四、五月の連休、西丸の身代わりに越後の浅草岳へ入るパーティーがあり、雪崩地帯を二十八・二十九日に通過するため、この両日だけは雨に降られないようにと頼まれた。西丸が前日の夕方、西の空へ三日間雨が降らぬよう念じると、朝鮮半島付近にあった低気圧はその間ずっと停滞し、両日は快晴となった。パーティーは無事に雪崩地帯を越えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・昭和(戦後))
西丸震哉『山とお化けと自然界』を篇単位で収録。完全装備で岩小屋前を通過する遭難者の幽霊目撃、木曾御岳の人魂たち、カラステングがタコを食う、亡き兄との交信やテレパシー(死者との通信)、幽霊の仮説・怪談といった山岳怪異譚を軸に、呪い殺しの実験・雨やみの術・日蝕と雨やみの術などの呪術、山の昆虫・メスネコの生涯・ヤマネとムササビ・ミミズク等の自然観察、酒・山旅・会津の秘境/栗駒山密林などの紀行随想を収める。