浅草岳の雪崩地帯で雨を止める
どんな伝承か
越後の浅草岳の雪崩地帯にまつわる雨止めの話。語り手はインドのアシュラムでシバナンダ師から雨やみの術を授かり、降るはずの雨を一定時間、特定の場所から取り去れるようになったという。一九六三年の四、五月の連休、身代わりに浅草岳へ入るパーティーが雪崩地帯を二十八・二十九日に通過するため、両日だけは雨を止めてほしいと頼まれた。前日の夕方、西の空へ三日間雨が降らぬよう念じると、朝鮮半島付近の低気圧はその間停滞し続け、両日は快晴となった。パーティーは無事に雪崩地帯を越え、真っ黒に雪焼けして帰ったという。
原典より
山から帰った連中の報告では、雪崩地区での両日は快晴であって、おかげでまっ黒に雪焼けしてしまったというから、まあまあ信用を落とさずにすんでよかった。—— 続 山だ原始人だ幽霊だ(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1972年(昭和47年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
続 山だ原始人だ幽霊だ(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1972年(昭和47年))
『続 山だ原始人だ幽霊だ』は、西丸震哉の随筆集で、あとがきの日付は昭和四十七年三月十日である。出版の都合で前後編に分けたうちの後編にあたり、ニューギニアやニューブリテン島、トロブリアンド島の部族を訪ねた探訪記と原始社会の食生活論に続いて、幽霊についての自説と、自身や身内が出会った怪談を収める。終わりには手相、テレパシー、呪い殺し、雨やみの術、インドから自宅へ魂を飛ばす実験の話が並び、カバーと挿絵も著者が描いたとあとがきにある。