本山寺の旧参道で、遍照院から二、三〇〇メートルのとこ
どんな伝承か
本山寺の旧参道で、遍照院から二、三〇〇メートルほどのところの西坂に大きな岩があり、その岩の下に狸の穴があった。昔、村の人がそこで狸を捕ろうと火を焚いていぶしていると、遍照院の坊さんがやって来て「何をしているのか」と尋ねる。狸をいぶして取っているのだと答えると、坊さんは「狸を取りどころではない、いま本山の集落が火事だ、早く帰らねば」と言った。みなが慌てて帰るあいだに狸は穴から出て逃げてしまい、火事などどこにも起きていなかった。あの坊さんは狸だったのだろうと語られている。大きな岩の下には火を焚いた跡が残っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。