田野へ鉄材を負うて行った戻りに、日が暮れた(3)
どんな伝承か
島根県江津市の話。田野へ鉄材を背負って行った帰り、日が暮れた。七日淵のあんどまで来た時、狼が袖をくわえて香葺藪の中へ引き込んだ。食われるのかと怯えていると、狼はそこへ坐らせ、その上に腰を下ろした。すると「人臭い人臭い」と牛鬼が現れ、「よい魚がいる」「守がついているからつまらん、波子の浜に出よう」と二匹が話し、江の川を隔てて去った。狼はまた袖をくわえて道へ引き出し、小田まで送った。家に帰り、足を洗った水をうつして盥を伏せると、狼は山へ逃げていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。