送り狼
どんな伝承か
昔、京都あたりへ働きに行っていた国久の人が、大晦日に給料をもらって帰る途中、日が暮れて困っていた。すると、ものすごく背の高い、鬼のような感じのする人が出てきて、どこへ帰るのかと尋ねた。今夜中に帰って明日は家内そろって正月をしたいが、夜通し歩くのは怖いと話すと、その人はわしについて来い、送ってやるといった。よく歩く人で、少しも疲れずに夜中に国久へ着いた。名を尋ねると、「わしの名はなにもいうほどのものでないが、節分の晩には豆まくな」といって帰って行ったという。それで国久の田宮という家では、今も節分の豆まきをしないという。
原典より
〈柳田―「狼塚」〉昔、あの、京都近辺に働きに行っとった人があるんですな。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。