その、送り狼がおったちゅう時代になあ、その、鹿賀の新(2)
どんな伝承か
島根県邑智郡石見町(現邑南町)の鹿賀に伝わる送り狼の話。鹿賀の新井屋の老人が広島の方から帰る時、いつも送り狼が夜の谷道でついてきた。雄と雌の二匹で、馬倒さんという所あたりから家まで送ったという。ある時、横手のあたりで狼が着物をくわえて引き倒し、二匹が上に乗った。すると沖から大風とともに、目が一つの魔物が伯耆の大山から現れ「よい餌がいると思って来たが狼か」と言い、向きを変えて去った。狼はまた着物をくわえて立たせ、鹿賀まで送り、足を洗った水を庭にうつすまで番をして帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。