松浦静山が聞いた狸囃し
どんな伝承か
深夜にどこからともなく太鼓などの音が聞こえてくる怪異を狸囃しといい、とくに江戸の町にしばしば出現したという。平戸藩主松浦静山もそれを聞いた一人であった。静山の下屋敷は本所にあり、そこにいると夜になるとときどき遠くから鼓の音が聞こえてくる。どこから聞こえるのかと調べに出ても場所がわからない。ある年の夏には、屋敷の南に聞こえていた鼓の音が急に近くなり、屋敷の内部で鳴っているように思えた。急いでそのあたりへ行くと音は別の方角へ遠ざかり、また次第に大きくなって再び屋敷内で鳴り響いた。近くの屋敷でその夜に鼓を打つ者はいなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦・1990年代~2000年代推定)