妙高山の硫黄採りと首捻り
どんな伝承か
会津八一から聴いたという越後の話である。妙高山の谷には硫黄を多く産する処があるが、天狗の所有であるとして近ごろまで採りに行く者がなかった。ところが先年、中頸城郡板倉村大字横町の何右衛門とかいう者がこれに目をつけ、十数名の人夫を率いて山に入り、谷間に小屋を掛けて日中は硫黄を採り、夜はこの小屋に集まって寝た。ある夜更け、容易ならぬ物音がして小屋も倒れんばかりに震動し、戸口から顔の赤い白い衣物の背の高い人が入って来た。夜が明けて見ると、何右衛門だけが首を後ろ向きに捻じ切られて冷たくなっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。