与板・六地蔵による制裁の慣習
どんな伝承か
与板の町の背後は岡である。宿の主人は才幹ありげな男で銀行の支配人を兼ね、自ら案内して町の姿を説き示した。岡に接しているのは一万石の大名屋敷である。小学校の後ろから登ると、以前医者が住んだ屋敷だという梅の多い谷があり、池に蛙が多く鳴いて荒れ果てていた。寺の庭を通って外に出る。この寺の六地蔵を、町のために好ましくない家の門に舁き据えて制裁とすることが、昔からの慣習だという。近頃破産して与板銀行に迷惑をかけた大金持が二戸あり、その家はすでに取り毀たれて菜種畑になっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。