あの田中五郎さんがね
どんな伝承か
古志郡山古志村の田中五郎の話。終戦後、ソ連に抑留されてマラリアのような病にかかり、死ぬ手前まで行った。三途の川のような所へ着くと、その家が信じている不動様と思われる白い不動が現れ、「お前はここから先へ行くな」と言った。「では願をかけるには何が一番よいか」と尋ねると「一番なのは煙草だ」と答えた。なかなかやめにくい煙草を確かに断つと誓ったところ、その神はふわふわと消えてしまった。まもなく気がつき、以後は煙草を一本も喫まなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。