柏崎の漆器を輪島と偽って売る
どんな伝承か
明治四十年五月、柏崎を訪れた折に聞いた話である。柏崎は古い町で、三国街道との追分にあたり、小売店の並ぶ中に古道具屋が目立って多い。現在の繁栄は石油によるものだが、以前は越後縮の産地として知られ、行商人を多く送り出す土地でもあった。柏崎の漆器は木地も漆も、大方は外から取り寄せて造られているのに、世間へは「輪島」と言って売られているという。しかしその技術は精巧で、少しも輪島の名声を傷つけるものではないのだと、土地の人は語っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。