作手村のサンカ(ボン)の生態
どんな伝承か
海抜千五百尺の高寒なこの村にも、ボンの往来する大道は幾筋か通っているらしい。途で遭ったという人も聞かないが、今まで一年として来なかった年もなく、いつの間にか来て小屋を掛け、つつましく煙を揚げている。部落から少し離れた山の蔭の、樹林を隔てて水の静かに流れる岸などが、この徒の好んで住む地点である。足音を止めると話声を絶ち、物色しようとすればいよいよひっそりとなるのがボンである。竹籠の類も作って持って出るが、主たる渡世は川漁で、中でも亀類はよく捕る。警察官はサンカ、または箕直しなどとも呼んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。