粉河観音の神童文学と龍宮
どんな伝承か
紀ノ川の右岸まで出て、粉河の観音の寺に参拝した。古い同志の逸木盛照師がおられる寺だが上人は留守で、境内は至って森閑としていた。そこらを見巡るうちに懐かしく思われたのは、後代の児文珠、さらには武蔵の深大寺などへ移し伝えられていた神童文学が、ここでは千年も前から既に花やかに展開していたことである。龍宮も寂光浄土も皆それであって、我々は終始、民族固有の幻を透してこの渡来の教法を渇仰してきたのだと記す。絵馬堂には長州の講社の名が多かった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。