国主淵
どんな伝承か
長い日照りで池も貴志川の諸井の渕も水一滴なくなり、田も畑も真白に乾ききった。飢え死にするしかないと、貴志の住民が毎日集まって雨乞いをし、国主渕の井せきのほとりで神に祈り続けた。その時、乾ききった国主渕の岸、今のえぼし岩の下に深い穴があるのを見つけ、中に水が少しあったので掘り始めた。すると闇夜のように暗くなり、雷とともに大粒の雨が降り出して渕は濁り水で一杯になった。見下ろすと渕の面に二つの生き面が現れた。中貴志村神戸の中西刑部が祖先伝来の刀を持って来て流れ狂う渕に飛び込み、現れた生き面二つを生け捕って殿様に献上した。その後は水も十分で作物は立派に実った。この穴は底が知れず、竜宮まで続いているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第9巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全100話(奈良・大阪・和歌山・三重=近畿南部/紀伊)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。