国主淵
どんな伝承か
昔、日照りが続いてみんなが集まって相談した。その時、一人が考えついて川に大きな穴を掘り、そこから水車で水を汲んだ。すると急にゴーと音がして穴の中の水がなくなってしまった。上を見ると大きな木が水を吸っていた。太い綱で力を合わせて引いたが綱が切れ、「さくらいじさん」に来てもらって二、三回引くと木が倒れ、根元から水が湧き出して雨も降ってきた。少し経ってさくらいじさんが来てみると、化け物のようなものが川の中で泳いでいた。刀を腰に差して飛び込み、争って脇に二つ、首に一つ、合わせて三つの面を持ち帰ったが、腰を見ると刀がなく、潜って探しても見つからなかった。三つの面は一つを紀州の殿様に、一つを高野山に納め、一つは自分の家に置いた。二、三日して安楽川の人が借りに来て返してくれたが、少し経って見るとその面は変えられていた。今でもその面は変えられているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第9巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全100話(奈良・大阪・和歌山・三重=近畿南部/紀伊)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。