蕨の首長地蔵
どんな伝承か
高麗島にはかつて霊験あらたかな一体の石の地蔵菩薩があり、信心深い人々の夢枕に立って、自分の顔が赤くなったら大難の前兆だから逃げよと告げていた。邪怪な者たちがこれを嘲り、戯れに絵の具で地蔵の顔を赤く塗ったところ、島は一朝にして海の底に沈み、残った者は皆死んでしまったという。久賀島の蕨という部落には、この高麗島から立ち退いてきた旧家があり、今も証拠の陶器を蔵している。この問題の石の地蔵もどうにかして渡って来て、今も以前の信心者の子孫にかしずき祭られており、外では見られないほど頸の長い地蔵様だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。