例一一 二個出る幽靈
どんな伝承か
大正十二年秋、三河国北設楽郡段嶺村宇田内のセメント瓦製造所で、四坪ばかりの宿直小屋に幽霊沙汰が起きた。夜十二時ごろになると老婆と孫娘の二つの幽霊が天井の隅から現れ、見た者は体がすくんで動けなくなり、幽霊が消えると自由になる。職工は誰も泊まらなくなったが、兵隊上がりの夏目小三郎が退治すると言って棒を持って待ち構えた。すると電灯が遠のき、掃除のような音とともに白髪の老婆が現れ、殴ろうとした途端に体が動かなくなった。小屋の場所は昔、二人の溺死者が漂着して葬られ、石地蔵が立っていた所だった。
原典より
例一二 蚊帳の中へ出た幽靈例一三 狩獵家を悩ました亡靈例一四 旅館の幽靈座敷例一五「九月二十二日」例一六 十年間出た少婦例一七『灰色夫人』例一八 天文學者の見た幽霊例一九 チロン伯—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期)
心霊研究家・岡田建文の『心霊不滅』。唯物科学を批判し、肉体死後も心霊(心識)が不滅であることを古今東西の事例で立証しようとする心霊科学書。序説でイオン研究所のエーテル体撮影や、神戸の歯科医方で死去した令嬢朝子の消息を語ったセキセイインコ、タイタニック沈没時の挿話を置く。