山崎家の狸と守神の墓
どんな伝承か
弘化頃、上津具の中町にある山崎家の分家に、婿養子の元厚が入った。そこは武田信玄の金奉行依田某の邸址といわれ、久しく空家であった。入ってみると薬鑵がひとりでに転がり歩き、畳が持ち上がり、大入道が出た。ある晩、下男が地炉の縁から芝が生えたと騒ぎ、続いて天井で人が喧嘩するような音がした。元厚は大入道が相撲をとっていると笑って寝たが、枕元に来た者が「名倉道で狸に殺されかけたのを助けられた恩返しに狸を殺した。私は蟇でございます」と告げ、一疋の蟇が這い出したところで夢が覚めた。翌朝、天井には大狸が死んでいた。以来怪異はやみ、蟇は子の謙吾、孫の珉平の行く先々にも現れ、山崎家では守神と呼んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話