摂津難波浦の蘆苅男(福原の長者)
どんな伝承か
能因法師の歌などによって知られる摂津の難波浦にも蘆苅の物語がある。この話は大和物語の時代から早く都人らに歌の題として弄ばれ、いたずらに風流化していたが、男の露命をつなぐ職業が貧しく、妻の離別の理由も貧困にあること、再会して男が恥じて逃げ隠れることなど、豊後の炭焼長者の物語と正しく同じ話である。この難波の蘆苅男は、恥じて死なずとも長くこの世にあるべくもなかったのを、哀れな妻の力によって救われ、後には福原の長者という大金持になったと、謡曲「蘆苅」は説く。蘆刈の話では常に二人連れの女が男を尋ねて来ることになっており、男に逢って慰める一人は必ず都から伴って来た女であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。