傾城岩
どんな伝承か
江戸時代のこと、下持田の二男が大阪方面に出て大工職として働いていたが、高尾女郎と呼ばれる遊女と深い恋仲になり、末は夫婦になろうと堅く約束していた。そのうち都合あって大工は大谷へひとりで帰り働いていた。高尾女郎は愛した男が忘れられず、後を追ってついに下持田へたどりついたが、長旅の疲れでやつれはててみすぼらしい姿であった。あいにく男が家にいなかったのを幸いに、家の者は「遠いところを訪ねて来てくれたが、今はもう生きて居らない」と言って外へ連れ出し、ある墓のところへ連れて行き、これが二男の墓だと嘘を教えて帰っていった。それを聞いた女はあまりの悲しさにその場に倒れ、ついに泣き死んでしまった。あとから顛末を聞いた二男は驚き悲しみ、丁重に葬ってやったという。それが現在の傾城岩であるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。