銀のカンザシ
どんな伝承か
那覇の辻遊廓の香々小での話。ある真夏の夜、馴染のカマルーと寝ていた新垣が真夜中に目を覚まし煙草に火をつけると、長火鉢のそばに後ろ向きの女が座っていた。声をかけても答えず、怒鳴るとおもむろに振り向いたその顔は凄まじく、鼻には銀のカンザシが横に突き刺さっていた。女将は、若い頃この香々小にいたチルーという美しい遊女の簪を借りたまま返し忘れ、出棺間際に棺へ投げ入れたことを思い出す。ちょうど十三年目の命日で洗骨もしていなかった。墓を開くと簪は鼻骨に錆びついていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
沖縄怪談集 逆立ち幽霊(伊波南哲・昭和初期(推定1920年代~1930年代))