鰐に救われた漁師と地蔵の血痕
どんな伝承か
沖家室の漁師善右衛門は鰐地蔵を篤く信じていた。ところが妻はほかの男と通じ、二人は善右衛門を亡き者にしようと謀る。密夫は千見の瀬へ貝を採りに誘い出し、潮の満ちる頃合いを見はからって善右衛門だけを瀬に残し、船で島へ帰ってしまった。水かさが増すなか一丈余りの大きなワニが寄ってきたので、彼は手にしていた小庖丁をその背へ突き立ててしがみつき、地家沖の上浦の磯まで運ばれて助かる。礼に地蔵堂へ参ると、浜から堂まで血の跡が続き、血は地蔵の背から流れ、小庖丁も脇に落ちていた。以来この瀬を地蔵バエ、磯を地蔵が浦と呼ぶという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。