大島(6)
どんな伝承か
大島郡の東端にある油田村両源田は、ニワノスミとも呼ばれ、船のハリツナを陸へ取ってはならないと言われていた。ここには一匹の狸がいて、綱を陸へ取ると綱を伝って船を襲いに来るからだという。沖に碇泊する分には差し支えない。語り手の母も、大師講で伊予の札所を回った帰り、時化に遭って由利島で一夜を明かし、翌夕ニワノスミに泊まったとき、何かが胸に乗ってきて一晩中うなされたという。狸に襲われたのだろうと村では話し合った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。