大島(5)
どんな伝承か
山口県大島郡の大島では、蒲野村の幣振島長浦に船をつけて寝てはならないと言われていた。かつてこの浦で男女が心中したが、男は心のよくない者で、女だけを殺しておいて自分は海から這い上がってきたという。それ以来、殺された女のモーレイ(亡霊)が出るようになり、ここに船をつけて眠るとうなされると伝わる。周防大島の海の生活誌を書き留めた宮本常一が、船をつけてはならぬ場所の一つとして記録した話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。