大島(2)
どんな伝承か
ミサキは海で溺死した貴人の霊とも言われ、姿は見えずに話し声だけが聞こえるのが特徴である。島内のいたる所にミサキがいたが、森野村和佐の沖にも獰猛なものが一つ居たらしい。和佐に三十八、九になる男がいて、沖へ漁に行って帰ってから身体が腫れ出し、終夜ずきずき疼いて眠れない。医者に診せても訳の分からぬ病だと言われたが、手当がよかったのか一旦は治った。すると今度は股が腫れて歩けなくなった。シホーをする人に見てもらうとミサキが憑いて命を取ろうとしており、拝んでもらうと何事もなく治った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。