伊勢大廟の護符が弾を割る
どんな伝承か
正定の攻撃で神田・猪木の両部隊が猛撃を続けているとき、一人の兵士が二丈余の城壁に縄梯子をかけて猿のようによじ登ったが、上に上がるなり敵弾に当たってばったり倒れた。かと思うとすぐ跳ね起き、城内めがけて飛び込んで行った。神田部隊の通信手南城正成である。攻撃が終わって身体を調べた南城は奇蹟を見て驚いた。城壁の上で受けた弾は右の腹部から千人針の糸と糸の間を縫い、内ポケットの伊勢大神宮の護符を真二つに割って右の袖を貫いて外へ出ており、かすり傷一つ負っていなかった。南城は二十六歳、神戸市湊東区楠町に住む自動車の運転手で、召集の際に妻の淑子と伊勢大廟に参り、内宮で護符を受けていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話