弘法の吼木山びらき
どんな伝承か
真言宗高野派の法住寺は春日野にある。弘法大師は唐で修行していたとき、極めて優秀であったために慧果阿闍梨の衣鉢を受け、そのうえ宗祖伝来の三杵を授けられた。帰朝するに及び、由緒ある品を異国の者に持ち去られることを恥とする唐の衆僧が海岸まで追いかけてきたため、大師は東天を望んで空中へ三杵を投じた。五鈷は宝立町の吼木山上の桜の木に、三鈷は高野山の松の木、独鈷は佐渡小木町の蓮華峰寺の木に懸ったという。のち諸国を巡っていた大師の船中に、どこからともなく法華経読誦の声が聞こえてきたので、声をたよりに漕ぎ寄せると見付島がみえた。最初に陸に着いた所を着島、上陸して山へ向かった道をあがりの小路、その時渡った橋を元橋、橋詰めで足を洗った井を足洗いの井と呼んでいる。吼木桜は明治四十年頃に枯死し、そのあとに若木が成長している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第6巻』所収の「文化叙事伝説」全44話(福井・富山・石川=北陸)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。