別山の北で笑う白山権現の古法
どんな伝承か
大御前より二里余り南、別山の本社から北二十町ほどの所は、神代に白山権現と富士権現が山の高さを争った場所だと伝える。ここから富士山へ樋を渡したところ、水はことごとく富士山の方へ逆落としに流れた。そこで富士権現が馬の沓を樋の下に入れると、水はどちらへも落ちず中ほどに溜まったという。このとき白山権現は立ったり転んだりして喜び笑ったと伝える。ここから「正直正路の白山詣、商いたよりの富士詣」という俗信が起こった。また、富士山で馬の沓を拾った者は幸福を得るともいわれる。白山では初登山の古法として、別山の本社から北二十町の所で立ったり転んだりして喜び笑うのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。