白山の神の盗難(飛騨の婆さ)
どんな伝承か
飛騨の老婆が、白山の頂上に祀られた神像が宝石で出来ていると聞き、売って金にしようと山に登った。一尺にも満たない金の仏像は重くて持ち上がらなかったが、神仏は不浄を嫌うと思い出して腰巻をかぶせると軽々と持てたので、包んで家へ持ち帰った。ふいごで三日三晩吹いても溶けず、金槌で砕こうとすると首が宙を飛んで白山へ帰り、その光で老婆は目が見えなくなったという。首は大汝ヶ峰に落ちていたのを尾添の人々が見つけ、胴を付け直して山に祀った。明治の神仏分離ののち、尾添白山神社に三重の箱に納められた仏がそれだという。
原典より
婆々はそのままでは知れるので、ふいごで金をとかして売らうと思い、ふいごで三日三晩吹いたけれども解けず、婆々は目が光りでつぶれ、神様は宙を飛んで白山の山に帰ったということである。—— 河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史)
『河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説』は、白山麓の河内村の村史の民俗編から、民話・伝説と故事を記した節を収めたものである。白山の千蛇ヶ池や富士山との背くらべ、高ボウケの大蛇、猿仏の名号、おひなの荒、天狗、菊酒、池の金山の伝説など、村と周辺に伝わる話を、白山関係の古文書や郡誌を引きながら記す。第三節「民話 伝説」、第四節「故事 伝説」、第五節「伝説」に分け、話ごとに題を立てて由来や現地のようすを添えている。