中継でツゲより先に着く魂
どんな伝承か
新潟県岩船郡の北の端、山北町の東方山地にある中継では、寺へ死を知らせに走るツゲの役が村境まで来ると立ち止まり、死者の魂に頭を下げて、どうぞお先にと声をかけたという。そのためか、ツゲが着くと住職にもう来ましたかと尋ねる者が多く、仏の魂が一足先に寺へ入っているのは当たり前という顔つきだった。府屋の曹洞宗帯楽寺には、こんな話も伝わる。住職の子息が幼い頃、冬の夜に台所の火にあたっていると、玄関脇の杭で草履の雪を落とす音がした。客が来たと告げても父は腰をあげない。やがて誰かが上がりこみ、本堂の方へずんずん歩いてゆく足音がして、思わず身震いした。翌日、町内でもっとも奥の山熊田からツゲが来たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。