諸鈍の魂迎え岩屋
どんな伝承か
茂野幽考氏の『奄美大島民族誌』によると、維新前のことらしいが、加計呂麻島の諸鈍では、死期の迫った重病人の魂が身体を抜け出て後生の道へ走ったといい、巫女が先頭になって馬をひき、その魂を迎えに岩屋へ行ったという。この岩屋はかつて風葬時代に遺体を置いた洞穴で、その奥の方に後生へ通じる抜け穴があるという。茂野氏は、諸鈍の豪家である林前織の魂を迎えに行ったことのある者から話を聞いており、空馬で行った馬が帰りにはいかにも人が乗っているように歩き、途中で出あった人には前織の馬上の姿が見えたというのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。