死人の肉の味を覚えた徳水院の僧
どんな伝承か
増上寺の子院、徳水院に亡骸が運び込まれ、湯灌して髪を剃ってほしいと頼まれた。剃刀を当てた僧は、はずみで頭の肉を一寸ばかり削いでしまう。施主に見とがめられるのが恥ずかしく、行き場を失った肉片をとっさに口へ放り込んだ。ところがその味が忘れられず、以来夜ごと土の中の死体を掘り起こしては肉を食うようになった。墓所が毎晩荒らされるのを怪しんだ住職が、犬か狐かと張り込んでみると、現れたのは日ごろ召し使っている僧である。問いただされた僧は涙を流して次第を打ち明け、これが知れた以上ここには居られませんと言い残し、どこへともなく去った。元禄年間のことという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・昭和)
早川純夫『日本の妖怪』。神話時代から江戸まで、日本の妖怪と妖異を歴史の流れに沿って描く。