梵鐘鋳造の寄付に貧婦がわが子を差し出す
どんな伝承か
備後国芦品郡新市(現・広島県福山市新市町)の吉備津神社に伝わる梵鐘の由来譚。梵鐘鋳造の寄付を募っていた勧進僧がある貧しい家を訪れると、母親が何も差し出せるものがないのでこの子どもを差し上げますと申し出た。鋳造作業は順調に進んだが、最後になって子どもの入るほどの小さな穴がどうしても埋まらず、神託によりその子を入れるための穴だと告げられた。小児は煮えたぎる鉄湯の中に投げ込まれ、ついに梵鐘は完成し、母はその鐘の撞き初めをしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史・自治体史(民俗))
『広島県史 民俗編』所収の伝説の分布論。広島県(安芸・備後)に伝わる伝説を、その素材と分布の地域的特色から論じる。