歌浦の大磯という浜の海中に虎石があり
どんな伝承か
御調郡向島町の歌浦には大磯という浜があり、その海中に虎石がある。『芸藩通志』によると「虎女が故を以て土人酒饌を供す」とある。虎女とは曽我十郎の愛妾で、鎌倉随一の遊女であった。ただし、ここでいう虎はその虎とは別人で、いわゆる「巫女の虎」と呼ばれる女性のことであり、遊行女婦の和泉式部と同じように各地に遍歴の物語を残している。式部が泉のほとりの樹下などで歌舞卜占をしたのでその名があるように、虎は石のほとりや樹下で宗教的な行為をした巫女の通称だったといわれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史・自治体史(民俗))
『広島県史 民俗編』所収の伝説の分布論。広島県(安芸・備後)に伝わる伝説を、その素材と分布の地域的特色から論じる。