働き者の毘沙門天にあやかる正月の藁叩き
どんな伝承か
昭和十五年ごろまで、大塚町の農家では一月三日の朝五時ごろから男たちが藁叩きをした。七福神のひとりビシャモンサンが働き者の神であるところから、それにあやかって働くことを尊ぶ行事だったという。臼をひっくり返して台とし、三十センチほどのかきやで藁を打つ。汗だくになる重労働であった。叩いた藁は雪で野良に出られない時期に、蓑や胴巻き、縄をこしらえるのに使う。蓑なら五、六把、胴巻きなら五十把ほどを費やした。この日には毘沙門天へお参りもした。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編)・自治体史(民俗))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書』所収の俗信・憑きもの・民間療法。出雲平野の大塚町に伝わる心意現象を採録する。カラスの鳴き声で天候を読むアレガラスの予兆、イチヂク・ビワを植えぬ・便所に南天を植える屋敷の禁忌、キツネに憑かれることを『サバラレル』という狐憑き、繁盛するゆえ嫉まれ村八分で結婚に難のあった憑きもの筋『キツネモチ』、着物の裾を結わいたり小豆を井戸に落とすものもらいの呪術的民間療法などを収める。