夜叉神堂の張り子の鬼面を借りる
どんな伝承か
東京市麻布笄町の長谷寺、その境内にある夜叉神堂には、張り子で作った鬼の面が納められていた。願いごとのある者は、まず先に誰かが納めた面を借り受けて祈る。しるしが現れたなら、新しい面を一つ買い足して、借りた分とともに堂へ返す。借りて祈り、倍にして返すというこの形は、手甲や拍子木や土馬など各地の奉納物にも共通しており、富士川游は病気平癒を願う供え物の一例として書きとめている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の研究(富士川游(監修)・富士川游・医学史/迷信研究・昭和初期)
医学者・富士川游が監修した『迷信の研究』。迷信を医学史・民俗学・心理学の立場から体系的に分類・解説した大著で、二百数十項目にわたる。總體では迷信の定義・歴史・階段・根本(原始的宇宙観)・暗示・妄想・科学との関係・心理(錯視現象)・光明面(フレーザー)を論じる。身體では人体十二宮・七曜・五行配当、厄歳とその俗説、相生相尅・男女相性・有卦、女が夫を殺すとされる丙午の迷信と天明・弘化のさとし書を扱う。