墓の穴から通ってきた鱗ある女の幽霊
どんな伝承か
浅香山井の随筆集『四不語錄』巻二に、能登飯山の谷奥にある神子ヶ原という村の話が載っている。ここの百姓某の妻は、両脇に鱗があり、乳房は一尺を越すほど長く、子を背に負って肩越しに乳を含ませたという。力も強く、壮年の男四、五人分の働きをこなした。あるとき病を得て死んだが、十七日目に幽霊となって現れて夫を取り殺し、その後もたびたび村に姿を見せたので、女や子どもは恐れおののいた。作蔵という者が、死人の墓に穴があると必ず出るから埋めるべきだと言い出し、探してみると果たして穴があったので埋めたところ、以後は現れなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和)