二十四歳の男が降った松島町村
どんな伝承か
慶応三年の秋、上伊那ではお札降りの騒ぎが村から村へ移っていった。木下村のはやし方が小鼓や太鼓、笛を鳴らして近隣を歩きまわるうち、隣の松島町村では十一月十三日、札ではなく二十四歳の人間が降ったという出来事が起きる。人びとはこれを天狗様のしわざだと言って喜び、降ったとされる家には子がなかったので、その者を養子に迎えたと伝えられる。降り物が札から人へ移るころには、豊年を祝う祭りの気分を越えて、騒ぎに便乗した動きが表に出てきていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 通史編 第6巻(長野県史・昭和中期~後期(推定))
本書は慶応3年(1867年)7月から慶応4年(1868年)3月にかけて、信濃地方で発生した大規模な「お札降り」現象を記録した歴史文献である。三河渥美郡に始まった札降り現象は東海道沿いに伝播し、名古屋での流行を経て信濃各地に波及した。飯田、高遠、松本、諏訪などの城下町から農村部まで広範な地域で、神社のお札や御幣が降下したと報告され、各地で「豊年踊り」と称される大規模な祝祭が展開された。